レポート 10/14/2020
次世代機版『NBA 2K21』ゲームプレイのコートサイドレポート #2

次世代機版『NBA 2K21』ゲームプレイのコートサイドレポート #2 - キャラクターモーションと接触

 

次世代機版のゲームプレイを特集した、全3回のコートサイドレポートシリーズの第2弾をお届けします!先週は今年の11月に発売される次世代機版のゲームプレイに追加されたシュート、ドリブル、パスの内容をご紹介しました。今回は PlayStation 5版と Xbox Series X 版、Xbox Series S 版の『NBA 2K21』で次世代機ならでは体験を創り出すための技術について詳しくご紹介します。

 

次世代機のキャラクターモーション

開発者にとって新たな家庭用ゲーム機の発売ほどワクワクさせられることはありません。次世代機の登場は、スポーツゲームのジャンルの限界を押し広げ、さらに進化させる方法を改めて考えるチャンスとなります。次世代機のパワーによって最も大きな恩恵が得られる要素は何かと聞かれたら、私はコート上の選手の動きだと答えるでしょう。キャラクターの 動きは、優れたバスケットボールゲームを作るための基礎となります。この基礎ができていなければ、その他の様々な要素が崩れてしまいます。選手がボールを持っていてもいなくても、私たちはその動きを改善するために多くの労力を費やしてきました。次世代機で初めてとなる「NBA 2K」の進化には、私自身も興奮しています。

ドリブルモーション次世代機ではドリブラーが一から作り直され、その違いは一目瞭然でしょう。数年前に導入されたシグネチャードリブルの様々なスタイルのコンセプトは残っていますが、それ以外のものはすべて一から作り直されており、次世代機ではボールを持っているときの操作感が大きく変わっています。さらに、ボールを守る動きや、ポストでの動きも大幅に改善されています。ドリブルモーションの改善で最も注目すべき点は、予測可能性と一貫性です。コート上で移動したい位置に動くことが容易になり、それを自分の思い通りのやり方でできるようになります。思いがけず方向が変わってしまったり、逆方向を向いてしまうことはなくなります。思いがけず加速して、カットに失敗することもなく、すべて思い通りに動かせるようになります。プロコントロールのドリブルムーブシステムと同じエンジンを利用していることから、モーションとムーブは連動して機能します。選手のスピードや重量感も、より現実に近いものとなります。すべてが網羅されていて、私自身もプレイしていてどれだけ楽しくなったかここでは語りつくせません。

ディフェンスおよびオフボール(ボールを持っていない時の動き:ボール保持者に対するディフェンスから、ボールを持たないオフボール時のオフェンス/ディフェンスの動きに至るまで、ドリブル以外のすべての動きは導入から3年目となる2K のモーションエンジンで実行されています。次世代機で、ボールを持たない時の選手の動きに次世代機版ならではの感触を作り出すため、モーションチームが努力を続け、見た目も操作感も抜群となりました。進化した要素の中から注目すべきものをいくつかご紹介します。

  • バスケットボールの様々な状況(トランジション ストップ、リークアウト、ガードブレイク、アンカー、スペース ペリメーター)に応じた独自のモーションアセットを用意して、コート上の選手の動きや見た目がよりリアルに。
  • パス、カット、ストップの改善で、ディフェンダーの接地感が向上し、現世代機で発生していたディフェンダーが滑る現象がほぼ解消。
  • モーションの安定性と反応性が全体的に改善。選手の動きのぎこちなさを解消して、選手の動きがプレイヤーのスティック操作に対してより正確な反応に。
  • 選手の身体のサイズを検出するロジックを改善して、選手の差異がより分かり易く。ビッグマンはビッグマンらしく、ガードはガードらしく動くようになります。そのため、シグネチャーモーションのスタイルを実現すべく、新たなアニメーションが大量に追加されています。
  • 左スティックを弾くことでクイックステップを行えるようになります。これはディフェンスのポジショニングを細かく調整する際に効果的です。

足の接地感:バスケットボールでは足を滑らせるのは厳禁です。しかし、シリーズの過去の作品では、技術的な制約からこれを許容するほかありませんでした。次世代機版の『NBA 2K21』では、これが大幅に改善しています。エンジニアが選手の足の接地のロジックを一から書き直した結果として、現世代機版と次世代機版を比較した際の見た目で、最も大きな差が生まれる部分となりました。選手が足を滑らせることがなくなり、細かい位置調整が必要なときは、現世代機版。ハードカットや加速、ストッピングの際はもちろん、ただ立っているときや細かい調整を行うときにも選手が正確にに足を動かすのを見るのは最高の気分です。2K のバスケットボールがもう"ワン ステップ"、現実のバスケに近づいたと言えるでしょう。

ボディアップ:これは開発チーム内で使われている、ボールハンドラーとディフェンダーの間の やりとりを総称する言葉です。このオフェンスとディフェンスの追いかけっこのようなシステムを、ゲーム内で正確に再現してバランスを取ることにはいつも苦戦しています。ボディアップにおける私たちの目標は、ドリブルとディフェンスの 動作の両方の改善内容を強調することでした。そのため、プリセットのやりとりを減らして、プレイヤーの操作をより正確に反映する必要がありました。ドライブの際に適切なアングルを選んだり、不用意に接触しないことのメリットに関しては、次世代機版の『NBA 2K21』はとてもいいバランスが取れていると思います。ディフェンダーに真っ直ぐ突っ込もうとすると、その場で停止してチャージングを取られたり、強制ピックアップさせます。ボールハンドラーがディフェンダーのすぐ横を抜けようとしても、ディフェンダーが上手くそれに合わせた場合は、よりリアルに、どちらの選手も滑らかに動き続けます。また、動きの遅い(または反応の遅い)ディフェンダーは抜かれてしまうことになり、動きが遅れて無理に止めようとすると、ブロッキングファウルを取られる可能性があります。優れたボールハンドラーは相手を抜いてから急停止したり、バックダウンで押し込むドリブルを効果的に行えるようになるので、スピード以外でもインサイドを攻められるようになります。このロジックにより、結果的に幅広いプレイが可能となり、思い付く限りのあらゆる細部までが考慮されるようになりました。これによって1on1の攻防が改善されて、実際の NBA の駆け引きがより正確に反映されるようになります。

ボールを持っていない状態での接触:ボディアップと同じシステムをボールを持っていない状態にも適用しようと考えました。モーションチームはボールを保持していない状態での接触のシステムに手を加え、“let throughs”(偶発的な接触)から激しい衝突まで、様々な接触を表現できるようになりました。ボールを持たない状態での動きの自由度が大幅に増しただけでなく、故意の接触時にも、不自然にボールを奪う動きや滑りが発生しなくなり、よりリアルになりました。選手の接触に関する私のお気に入りは、新しいスクリーン時の動きです。もう、過去のバスケットボールゲームにあったような、ディフェンダーがスクリーンに引っ張られて変な方向に進んでしまう、“吸い込みスクリーン”はなくなります。スクリーナーの上からでも下からでも思いのままにスクリーンを回避できるようになりますし、体の小さなディフェンダーがビッグマンのスクリーンにぶつかれば、“KO”されます。これは見た目にも素晴らしいですが、何よりも重要なのは、チームプレイで重要なスクリーンの結果にオフェンスもディフェンスも納得がいくようになることです。

 

インパクト・エンジン

オフェンスとディフェンスのバランスを取る際に特に難しかったのは、ペイント内での接触です。前述した通り、私たちは次世代機ではユーザーの操作を尊重しており、ゲームバランスを優先してディフェンダーを特定の位置までワープさせるようなことはしていません。しかし、特にゴールを守る際には、ペイント内でのポイントばかりになってしまわないように、安定した接触でオフェンスの選手を止められるようにすることが重要になります。次世代機版『NBA 2K21』では、開発チーム内で「インパクト・エンジン」と呼んでいる、新たな空中での接触時のシュートシステムを開発しました。その狙いは、過去のゲームで行われていた不自然にボールを奪う動きを完全に排除し、選手同士が空中でぶつかる際の接触をリアルタイムで演算することです。インパクト・エンジンと次世代機の処理能力によって、それを行う自由度が得られました。選手が空中にいるときにリアルな接触を演算できるようになったことで、以前のように結果から逆算して、ジャンプする前のディフェンダーを特定の位置に無理に動かす必要がなくなりました。これはインサイドのディフェンダーを操作する際に大きな違いとなり、以前のように特定のアニメーションを発動させるために選手が勝手に動くことがなくなって、プレイヤーが選手を自由に動かし、ボールを動かすことができるようになります。ペイント内でのディフェンスをさらに強化するために、ブロックの対象指定に関するロジックも改善して、手が正しくボールを追いかけるように(さらにクリッピングの発生をなるべく減らすために)、IKも多用しました。新エンジンの主な利点のひとつは、『NBA 2K』シリーズで初めて、接触しながらのアリウープやディフェンダー越しのプットバックダンクが可能になったことで、これをキメることができれば、見た目にかっこいいだけでなく、素晴らしい爽快感を味わえます!

地上での接触でも、特にチャージングとブロッキングファウルが大きく改善されています。シューターよりも先に動いて静止することができればオフェンスチャージングファウルを取れる確率が高まりますし、遅れればブロッキングファウルを取られます。また、レイアップの際にシューターがディフェンダーにぶつかって、チャージングかブロッキングかが分からないような状況でのクラッシュ(狙いにいく)レイアップも追加しました。これらのアニメーションによって、オフェンスがインサイドを攻めようとする際にはディフェンダーの存在を意識するようになるはずです。ディフェンダーを回避できそうにないなら、フローターを打ったり、下がってジャンプシュートを打った方がいいときもあります。

 

PS5 のトリガーエフェクト

開発者は、新たなゲーム機で導入されるハードウェアの新機能にいつだってワクワクさせられるものです。PlayStation 5の「アダプティブトリガー」と「ハプティック(触覚)フィードバック」の話を聞いて、私たちはすぐにこれらを使ってゲームプレイを拡張する方法を考えました。開発キットを受け取るとリードエンジニアがいくつかの試作品をテストして、バスケットボールゲームに最もふさわしい活用方法を探りました。

「アダプティブトリガー」に関しては、これを使って選手のエネルギーと疲労を表現することにしました。コート上を動き回っているとダッシュトリガーの抵抗が増していき、選手のエネルギーが消耗していることが感じられます。また、ポストプレイにもアダプティブトリガーの抵抗を導入しました。ポストプレイが得意な選手が弱いディフェンダーを相手にバックダウンでポストに入る際には、 L2ボタンにほとんど抵抗を感じませんが、逆の場合は抵抗が増すためL2を強く引く必要があります。これはプレイしていても楽しいですし、実際にコート上でバスケットボールをプレイしているかのような没入感が得られます!

「ハプティック(触覚)フィードバック」に関しては、様々な状況での接触を強調するために活用しました。ボックスアウト時や激しいディフェンス時、ボールを持っていないときの接触など、選手同士の接触が発生するあらゆる状況で、接触した選手の体の強さと接触の激しさにコントローラーが反応し様々な強度で振動します。軽い接触と激しい接触の差を手に平で感じられるのは最高です。また、コート上で選手を酷使し過ぎてエネルギーやスタミナが低下し、それによって体に疲労が蓄積することで怪我が発生するという「NBA 2K」シリーズでお馴染みの負傷システムをより直感的に理解するためにも役立ちます。

開発の現場では、次世代機版『NBA 2K21』を支える技術は様々な飛躍を遂げていますが、本日は数ある中から主要なものをピックアップしました。新技術にはいつだってワクワクさせられるものですし、次世代機のハードウェアの進化がソフトウェアの進化につながり、それによって新たなゲームプレイが登場し、ジャンルが進化していく様子を見るのは最高の気分です。来週公開されるゲームプレイを特集した最後のコートサイドレポートもお見逃しなく。来週はプレイヤービルド、バッジ、テイクオーバー、AIの改善について詳しくお話しします!

                        マイク・ワン @Beluba (NBA 2K ゲームプレイディレクター)

 

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